ウィンター・ラヴァーズ

2014年04月27日 22:41

 

夢の中、イルミネーション、
雪、灯るあかり、
街は揺れている。

わたしの手を引くひと。


違う?なんだか違うの。
この人のことは知っているけど
好きなのは、この人じゃない。

 

それなのに
「忘れたのかい?おれたちは
恋人同士だったじゃないか。」
って嘘をつかれて、
あぁそうだっけ、?
って、曖昧に目線を逸らすの。

 

わたしは憧れの人を
思い出せない。

どうしても思い出せない。
あんなにだいすきだったのに
思い出せない。

 

とても背が高くて
よくわたしをからかっていた。
シンプルな、かわいい時計をしていた。
真面目な人だった。
携帯電話をかたてに
いつも忙しそうにしていた。


屈託のない笑顔。
けらけらと笑う、記憶の中のあなた。

 

わたしはあなたの顔さえも
はずかしくて見ることができなかった。

 

うつむいていたら、
眠たいの?まだ起きていなよ、
と、また、からかわれたけど、
くすぐったくて悪い気はしないの。

 

かすかに触れた指先から
溢れだす熱量。
街中の雪を融かして
このまま夏に
なってしまうかもしれない。
話したい。離せない。
離れたくないよ。

 

手を引くにせものを
振りきって
あなたの名前を呼んだ。

 

雪、白、イルミネーション。
夜空。スピカ。落とした手袋。
老夫婦、家族連れ。恋人たち。

 

―どこまでも清浄な、この世界。

 

「どこへ行っていたの?早くおいで。」

 

あなたの声。
わたしの声。

 

そして、

鼻先におちた結晶みたいに

 

とけあって、一つになるの。