水彩

2015年02月28日 20:56
湿り気をおびた布地に
指が触れたときの
ふっと笑ったような
あなたのため息がすき
見えない糸を這わせて
人形のようにわたしを
強く引き寄せた
 
 
あなたを時々 街で見かけた
だけど言葉は交わさずに
わたしは黙って通り過ぎた
 
 
暗闇のなか
温度と吐息をたどって
あなたはわたしのくちびるを探す
たしかに淋しかったはずなのに
まるでそんな気持ちは
初めからなかったみたい
離れていったのはどっち
それはわたしの方かもね
 
 
あなたへの恋慕が
濡らした筆先すべらせ
わたしの余生を塗りつぶしてく
愛し合うふたりは
絵画のように 美しいはずだった
 
 
片思いのように
掴みかけたイメージを
余白にぶつけていた
そうやっていつも
手に入らないものを
わたしのものに した気になって
 
抱きしめた途端に
泡のように消えていった人を
わたしのものに した気になって