帝都の月

2015年11月01日 17:53
月の満ち欠けと共に
押し寄せる悲しみに引き回されて
わたしは時に ある考えから
抜け出せなくなってしまう
それは衛星の軌道に似ている
だけど
燃えて流れ星となり
地上の誰かの願いを
叶えることすらできない
 
あなたとわたしは対を為し
近づくことがあっても
ひとつにはならない
わたしはそれがひどく
不自然に思えた
わたしが釦(ぼたん)に手をかければ
あなたが上着を脱ぐ
わたしが会いたいと言えば
あなたも当たり前に同じ気持ちでいると
そんな気がしていた
 
帝都に夜が降りる
愛の言葉は2回まで
 
わたしの脳には
血液がどっと溢れ
破裂しそうに
蟲のごとく動く
 
わたしの心は無菌室
いつでも汚してやろうと
悪党が 舌を出して狙う
 
あなたはどこかうわの空
わたしの気持ちに胡座をかいて
油断をしているようね
出した手紙に返事は来ないので
もう愛の言葉を綴るのは止めた
だけど見ておいでよ
そんなに単純ではない
 
その機微に触れすぎる
気持ちの棘を削ぎ落として
もう二度と どこにもひっかかることなく
生きていきたい
言葉を知らぬ動物のように
生きていきたい
言葉を知らぬ流れる水になって
誰かの手のひらに掬われ
飲み込まれてひとつになり
その血となりまた流れていく
 
そんなふうでいたいよ