ショートカット記念日

2015年11月09日 22:58
スプリングのきしむ音に 
合わせて揺れる
その髪が好きだと あなたが言ったから
今日は わたしの中で
勝手にショートカット記念日
 
女の子の下着は
レコードを包み込む 
グラシン紙のようにもろい 
子猫をあやすみたいに
指先でそっと 脱がせてみて
砂糖菓子のような
レース細工の奥で
朝露にぬれたそれは
熱を帯びて かたく
芽吹こうとしている
 
あたらしく生まれたわたし
髪を切って 別の子になった
昨日までのわたしなら
鏡の中に置いてきた
今日はショートカット記念日
胸の先も隠せない はかなさで
仄暗い部屋に ふたりの愛で
見えない命 灯すよ
 
詩人は心に 枯れない泉を持ってる
それはあなたに触れた瞬間の
わたしの深い奥底のよう
 
空気や風、雑踏や喧騒
あらゆるものを取り込み
溢れる言葉となって
追いつかないほどの速さで
出力されていく
 
髪は女の子の命と 
誰かが言っていたけれど
わたしは死なない
もう一度言うわ
 
わたしは死なない