人魚

2015年07月17日 23:17
わたしはあなたに
殺されたもののひとつ
野蛮な手 水面を破り
やかましく水音立てる
はじめはうれしかったそれさえも
だんだんと 疎ましくなっていった
 
 
広い海原に
わたしを愛してくれる
誰かがいることは知っていた
駆け出せる脚がほしいな
新しい毎日がほしいな
 
 
花びらのように
うろこを剥がして
明日を占っていた
1枚 2枚 散ってくうちに
わたしは人魚をやめている
 
わたしは死んだ
息をしているけど
心は 水槽の外に置いてきた
時々 目が合うあなたは
誰なのかも思い出せない
 
老いたくないのなら
わたしの肉を食べればいい
生にすがり 恥を知らずわめき
散々泣けばいい
 
あぁ 駆け出せる脚が
まだ知らない世界が
愛してくれる人がほしいな
 
わたしは死んだ
自分が誰なのかも
もう思い出すことはできない