爆弾の作り方

2015年01月01日 18:13

ひさしぶりね わたしの恋人
元気にしていた?
どれだけ電話したって 物足りないのは
幻想なのかな?
わたしの中は、どんな感じ?
前に、「君の中はとても浅い」
と言っていたことを思い出すの。
どんな風に気持ちいいのか
わたしも男の子になって
女の子になったあなたの中で
思いっきり試してみたいな
そう 君が泣きわめいちゃうくらい
一思いにいけないこと
やっちゃいたいな

 

ねぇ こんなに残酷なわたしなのに
「ちゃんと名前を呼んで」とか
「不安になっちゃう」とか
「好きって言って」 なんて
その一言が言えなくって
ぐずぐずしているうちに
肌はさらりと乾いていくよ

そうして「なんだか疲れたね」
って はぐらかして
口許緩ませてさ…だらしなく笑った

 

大事なことは
後回しにしよう
散々曖昧にしよう
デカダン気取って
Bボタン連打して
進化を拒否しようよ
だけど
いつまでもそんなことじゃいけないね
大切なことから 目を逸らしちゃだめなの

 

だいたいにして、スカートの奥を、
あなたは知っている。
スカートの奥の、下着に隠れた、
秘密の場所を知っている。
どこがすきかも
初めて触ったときから
知っている。
駄菓子屋で売られている、水飴のように
武骨な指ですくって絡めては
愛撫するの。
それはどんなサーキュレーターより
きっと確実で
誰にも 真似できないさ

 

つぼみはお好きですか
大きく膨らんで
花を咲かす瞬間まで
可愛がる権利を、
種を植え付ける権利を、
あなたは得たのでした。

 

首筋のキスマークが
不器用に 点々と胸に向かって
ママやパパに「怪我をしたの?」って
聞かれたら どうすればいい?
そんな風に思いながら
消えなければいいのに なんて考えている。

 

起きあがったら、それは、
わたしの奥に放たれたはずなのに
バケツの水のようにぜんぶこぼれた。
スチール撮影で かつて、
一度だけあらわになった、
みんながまだ知ることがない、
わたしのふとももを伝って
シーツを汚した。

「ねぇ 男の人って
からだを重ねたらそれで
自分のものだって思ってるのよ」
なんて 女の子たちは言うの

 

だけど…
人はいつだって自由なはずだよ
誰もが気付いていない

わたしはそれを知っている。
ノートと、ペンと、言葉があれば
どこへだって行けるし
何にだってなれる。
だってわたしは、
普通の人間ではない、
一人の詩人なのだから。
特別な人間なのだから。
たった一人に許された、稀なる才能を持つ、
ただ一人の存在なのだから。
たとえあなたがわたしの
子宮の入り口に
さわったとしても
さわれないものがある。

わたしは誰でもない。
わたしはわたしである。
わたしは不貞腐れたい。
わたしは恋をしに来た。
わたしは抱きしめられに来た。
わたしは犯されに来た。
わたしは黙って見ている。
あなたも黙って見ている。
長回しの映画の ワンシーンみたいに。
わたしたちの恋愛は既に
岩井俊二監督によって映画化されている。
「僕はその子の彼氏です」って恥ずかしそうに
ためらったあのシーンのあなたを
何度でも巻き戻してやりたい。
繰り返し再生してその事実を
小さなショートケーキを
大切に食べるようにいつくしむのだ。
その姿があんまりかわいくて、わたしは
たまらなくいじわるな気持ちになってしまう。
そうしてわたしがあなたの恋人である事実を
フィルムを通して実感するのです。

 

この部屋には、テーブルに置かれた
VOLVIC以外に、何もない。
わたしたちにはコンドームなんていらない。
なにもかも、愛し合うためのいいわけさ。
この世の大抵のことなんて
「性」で動いているっていうことくらい
もうみんな気付いているのに
黙っているのさ…バカみたい

 

一方でわたしは爆弾の作り方を
一生懸命覚えようとしている。
17歳で停止した海馬を働かせて!
LもRもわからないまま、
腹腹時計の模倣サイトを開いて
シチズンの目覚し時計を片手に、それを、
爆弾にしようと分解し始めている。
物足りないと思っていた毎日の電話は
既に何者かに傍聴/録音されており
わたしたちの国家機密ともいえる愛の囁きは
いとも簡単にインターネットで
国民中に広まっていたのでした。

 

この惑星にふたりきり
わたしが好きなものはなんだったのだろうか
X次元に来る前に
全部捨ててきた 気がする

だけどそれはすべて
ノートと、ペンと、言葉を使って
ここに残しておいたはずなんだ
ほらね ご覧 嘘はつかないでしょう?
だってわたしは 特別な人間なのだから。