箱庭の姫

2015年09月12日 00:56
カフェで流れていたあの曲を
君は知らないという
こんなの今どこでも流れているだろう、
流行っているあの曲の
ボッサ・アレンジだぜと言っても
ぴんとこないようだ。
 
君はテレビを見ない
君はゴシップなんかに興味がない
君はニュースを見ない(気がする)
君は手の届くミニマルな人間関係を
とても大切にしていて、そして
明日の天気ばかりを気にしている。
 
流行っている物を追わずに
知っている物に強くこだわるのだ。
新しいものを 知るのが怖いのか
まるで箱庭の中の姫だ
 
1週間 飲まず食わずの君の胃袋は
まるでその性格を
反映しているみたいに
委縮して 何も受け付けないんだそうだ
 
だけどつい言ってしまったんだ
クロックムッシュを
ちびちびと少しずつ食べる様子に
つい腹が立ってしまったから。
「デートなんだから もう少し 楽しそうにしろよな」
君は泣き出してしまった
そんなつもりはなかった
 
ぼくはとてもいらいらしていた。
虫の居所が悪かったんだ。
そこに居合わせた君も悪くないけれど
ぼくも悪くないんだ。
そう思っていた。
 
 
君は泣きながら
一人で帰った
ぼくは悪くないと繰り返して
黙って車に乗った
 
だけど君はきっと
一生懸命 1週間ぶりの食事を
摂ろうとしていたんだ
それなのにぼくときたらなんて言葉を
かけてしまったのだろう
 
 
「男ってバカだよなぁ」
ぼく一人の問題を
全人類にすり替えてみて
ようやく落ち着き
君の家まで車を走らせるのだ
窓の月 箱庭の姫
やさしい君を傷つけに