果実

2016年04月26日 23:45
 
おそらくわたしたちは
神話の中の果実を
同時に手にした
指先 触れ合って ためらう視線
ねぇ 食べてみようか
 
 
あなたを悩ませるために
やってきた人間だと
思いたくなかった
だけどね 
きっとそうじゃないと
わたしの手を取ったあなたの勇気は
誰にも真似できないほどに
まぶしく強い
 
 
「憧れているだけなんて
そんな簡単な気持ちじゃない」
 
それはわたしも
おなじことだよ
 
 
この世界に起きた事実は
ふたりで記録しておこうよ
星が生まれて死ぬまでの
遠い記憶を連れて
まだ先の未来へ行ける
 
 
君から生まれてみたいと
つぶやいたその声が 
やさしい灯りを宿して
わたしの胎内を塗りつぶし
泉をつくりだした
そこから魚が生まれ
やがて陸地に上がり
一つの歴史が始まる
 
 
神様に逆らってるみたいと
あなたは今夜 
とても幸せそう
そうね だけど
二人でいることが
禁じられたわけじゃないわ
心はいつだって自由ね
ひとつの時代の終わりに
わたしたちは生まれた
 
 
ねぇ、今日だけは
愛しい人の声しか聞きたくないの
あなたは憧れの人という
そんな単純なものじゃないの
 
 
 
手のひらの果実が
滑り落ちる速度で
 
わたしたちは
恋に落ちた