かけおちしようよ

2015年06月14日 17:32
少し遠くから 手を振るあなた
胸の先 ろうそくのように 
灯るは恋心 
透けないように水着の上の 
ゼッケンに隠した
 
 
君が大人になるのが
楽しみだよって言ってた
あと20年もだなんて
先はまだまだ長いよ
ゴーグル越しの未来は
まだぼんやりしてる
 
 
400メートル泳いだら
たくさん褒めてくれるかな
甘えん坊のペットみたいに
じゃれつくつもりよ
他の子より贔屓してくれなきゃ
なんだかつまんない
 
 
銃声、八月、プールの真ん中
わたしは棄権します
だからかけおちしようよ
こんな退屈な試合
投げ出して遠くに行こうか
 
 
そう言うと笑って
おこづかいをくれた
行きは宵宵  帰りも一人
後ろの正面は誰なの
 
 
浮かび上がれば
水とからだの境界線は
あいまいになって
まるでわたしの形なんて
最初からなかったみたいね
 
 
毒のような愛を注げば
おなかの底から
ふるえて溶け出した
まるでふたりの形なんて
最初からなかったみたい 
 
ね、キスしようよ
このままかけおちしようよ