さよなら立花くん

2014年04月27日 22:43

お給料が入ったと言って
ケーキを買って来てくれた
豪華じゃない食卓も笑顔
お風呂は君が先にどうぞ
たまのケンカもハグで
なかなおりできるよ


角のコンビニに
アイスクリームをふたつ
買いに行った君は
踏まれた蝉の抜け殻みたいに
ぐしゃぐしゃになって
あっという間に
夏の道路に溶けた


帰りが遅くなったら
時々寄ったお弁当屋さん
お気に入りのワンピースを
おろしたてみたいにしてくれた
クリーニング屋さん
家に帰るまで
我慢できずに
隠れてキスした
地下鉄のホーム


目がさめても明日からは
君が隣にいない
窓硝子にむかって
特売だったりんごを
思い切り投げた


スローモーションで
きらきら飛び散る破片が
流れ星だとしたら
三回お願い唱えて
もういないはずの君を
連れて来てくれるの?
ねぇ連れて来てくれるの、ねぇ?


あぁそうか
目がさめたのかもしれない
長い長い夢からさめて
ただそれだけなのだ


あぁそうか
君という人間は
わたしが作り出した
何か別のものだったのだ
と、思い込んだ後で
やっぱり君がいないことを知って
手作りの祭壇の前で
思い切り泣いた


こんな街に
こんな街に
一人でいられないよ
立花くん


わたしひとりで
生きていけないよ
おいていかないで
立花くん


おいていかないで
立花くん